電子カルテ情報共有サービスは、全国の医療機関や薬局などで患者の電⼦カルテ情報を共有するための仕組みのことを指します。ここでは、電子カルテ情報共有サービスの概要や仕組み、HL7 FHIRなどを解説していますので、ぜひ参考にしてください。
電子カルテ情報共有サービスは、「紹介状送付サービス」「健診文書閲覧サービス」「6情報閲覧サービス」といった主に3つのサービスから構成されています。
このサービスを通じて患者さまの診療情報が電子的に管理・共有されることにより、医療の質の向上や平常時の業務効率化、さらには緊急時におけるスピーディーかつ安全な医療の提供が期待できるでしょう。
患者さまに関する健診結果や6情報(※)についても、それぞれ医療情報管理データベース並びに、健診文書管理データベースへ蓄積されます。これらの蓄積された情報は、その後、全国の医療機関にて閲覧が可能になります。
(※)6情報とは、傷病名・検査・処方・アレルギー・薬剤禁忌・感染症のことを指します。
電子カルテ情報共有サービスは、患者さまの診療情報を電子的に医療機関や薬局で共有するための仕組みです。医療機関の間で診療情報提供書などを電子的に共有できると、患者さまが紙の紹介状を持参する必要がなくなり、よりスムーズに診療を引き継ぐことが可能になります。
具体的な流れとしては、まず医療機関にて患者さまに同意を得てから、医師が電子カルテで紹介状などを作成し、それを電子カルテ情報共有サービスの文書情報管理データベースにアップロードします。その後、紹介先の医療機関では、マイナンバーカードを用いて患者さまの同意を受けることにより、アップロードされた紹介状などの情報をダウンロードし、閲覧可能な状態になります。
提供が可能なサービス・情報には、主に以下のようなものがあります。
電子カルテ情報共有サービスを通じて共有される情報は、医療機関だけでなく、患者さま自身もマイナポータルを通じて閲覧することが可能です。
具体的には、ご自身の健診結果や前述の6情報(傷病名・検査・処方・アレルギー・薬剤禁忌・感染症)、そして患者サマリーといった情報について、マイナポータル経由で確認することができます。これにより、患者さま自身が自らの健康状態や受けてきた医療に関する情報をより深く理解し、健康管理に役立てることが期待されます。
診療情報は、診療の過程で把握した患者さまの身体状況や病状、治療などに関する情報のことです。
健診データは共有対象になるのか気になる方もいるのではないでしょうか。ここでは、健診データも共有対象なのかまとめ、診療情報との違いについても解説します。
健診には、従業員に向けた健康診断やメタボリックシンドロームに着目した特定健診などさまざまな種類があります。
健診特有の情報には、所属情報やメタボリックシンドロームに関した判定基準などがあります。
健診データも情報共有の対象として扱われます。
受診を効率化・スピードアップできるのはもちろん、システム内にて検査結果の管理やデータの処理もスムーズに行えるようになります。また、健診データと電子カルテを連携すると、医療従事者は患者さまの過去の健診結果や既往歴を迅速かつ正確に把握が可能です。
これにより、さらに正確な診断や適切な治療計画の立案につながるでしょう。
上記以外には、健診データと電子カルテを連携しておくと、患者さまの健康状態を多角的に把握したうえで、データに基づいた治療効果の評価や予防医療の推進にもつながります。
FHIRとは、「Fast healthcare Interoperability Resources」の略のことであり、Web技術を使用して、医療情報のやり取りを行える医療情報交換の次世代フレームワークを指します。HL7は、医療情報のデータ連携を標準化する国際規格でもあります。
導入すると、医療データ交換に関する規格をそろえられるため、データの相互連携が可能になるのです。
また、医療情報をテキストベースのデータ形式とされているJSON/XMLにて定義されているのも特徴です。
JSON/XMLはWeb(HTTPプロトコル)でよく使用されているデータ交換方式のことであり、形式変換しやすい特徴を持ちます。データ構造はもちろん、HTTPプロトコルのRESTを使用するところまで定義されており、I/Fを独自で開発しなくてもアクセスが可能なほか、情報の取得・共有が簡単にできます。
FHIRは医療情報交換の標準規格のことで、ファイアと呼びます。国際的な医療IT標準化団体とされるHL7 International (Health Level Seven International) が策定しているのが特徴です。
HL7 Internationalは、今までの間に、HL7 V2・V3・CDAといった規格を出してきました。
医療システムにおいては、医療機関ごとにシステムにばらつきがあり、データの相互運用に困難さを伴っていました。さらに、医療情報は他産業と比較すると、IT化が遅れている傾向にあり、レガシーなプロトコルや独自の仕様となっているケースが多い状況でした。
そのような中、クラウドやモバイル技術に普及が見られ、より手軽に医療データを扱いたいといったニーズが高まりを見せたことがFHIRの発端とされています。
FHIRはこれまでの知見を活かしながら、軽量でありWeb技術に準拠したアプローチを取り入れることにより、国際的にも急速に広まっていったと言われています。
医療の現場で、HL7 FHIRを重視している理由は、医療情報を効率よく共有するほか、スムーズな連携を可能にするためだと言われています。
具体的には、病院間やシステム間でのデータ交換を容易になるほか、医療の質の向上や患者さまの安全確保、業務改善に貢献するのが特徴です。
FHIRの導入によって、電子カルテの規格が標準化されます。電子カルテの標準化されれば、過去の血液検査の結果はもちろん、アレルギー反応が見られる薬剤や、どのような疾患で内服治療をしていたかどうかといった情報について、病院や施設などにおいて共有・交換できるようになります。
FHIRを導入すると、アレルギーのある薬剤を誤って投与するミスが減ったり、重複する血液検査を省いたり、投薬内容の聞き取りの手間を省略できたりするなど、さまざまな課題の改善につながるでしょう。
日本の医療DXにおいてHL7 FHIRは、厚生労働省が定めている電子カルテの規格をベースにしながら、標準的なデータ連携を促進する役割を担います。具体的には、HL7 FHIRを基盤に、全国の医療機関が医療情報を効率的に共有でき、医療の質の向上を目指していけます。
健診システムを導入前に何を確認しておくのか気になるところです。ここでは、健診システムの導入前に確認しておくポイントについて解説します。
データを抽出できたとしても、目的に合わせてデータ構造を変える必要があります。医療DXを実現するためには、情報を蓄積したうえで状況に合わせてデータを変換し、目的ごとにHL7 FHIR形式で出力できるか確認しておきましょう。
FHIRは、医療情報の共有を効率化し、医療DXを推進する上で重要な役割を担っています。しかし、非対応システムを使用すると、情報共有に遅れが生じたり、他のシステムとの連携の問題を引き起こしたりする可能性があるため、注意が必要です。
対応システムを導入する目的や要求事項について明確にし、医療機関の状況に合ったシステムを選ぶことが重要です。HL7 FHIRに対応したシステムを比較検討し、導入時にかかる費用や機能、サポート体制についても比較します。
そのうえで、導入スケジュールや必要な作業、体制構築などの計画を立案するようにしましょう。
サポートを受ける場合、どの程度のサポートを希望するのかによっても発生するコストが変わります。もし、システムの操作方法についての研修やサポートも必要な場合は、その分のコストも考慮しておきましょう。
電⼦カルテ情報共有サービスは、全国の医療機関や薬局といった場所で、患者さまの医療的な情報を共有するための仕組みのことです。HL7 FHIRは、将来的に標準化される可能性が高いとされています。
HL7 FHIRに対応したシステムを導入する際には、よく比較検討したうえで、導入にかかる費用や機能、サポート体制についても考慮することが重要です。
各種健診業務の効率化、人的ミスの削減といったメリットが期待できる健診システム。その一方で、導入におけるボトルネックのひとつとなるのが、高額な初期費用や月々の運用コストです。
そこでここでは、導入コストを抑えられるクラウド型健診システムを調査。受付・判定・報告まで自動化できるものから、導入実績があり、かつ初期・月額費用が安い3製品を厳選して紹介します。