健康診断の業務を効率化するには「健診システム」の導入が欠かせません。しかし、導入コストが気になって踏み切れない…そんな方も多いのではないでしょうか?この記事では、健診システムの導入にかかる費用や相場、製品の比較、さらにはコストを抑える方法まで詳しくご紹介します。
健診システムの価格は、受診者数や、クラウド型・オンプレミス型といった種別によって変わってきます。既に導入済みのソフトウェアに応じて、クリニックごとにカスタマイズが必要な場合もあります。
業者にコスト見積もりを依頼する際は、年間受診者数、必要な機能、連携予定のシステムを事前にリスト化すると、より精度の高い見積もりが得られます。
クラウド型健診システムの場合は、基本的にオンプレミス型製品に比べて、初期費用・ランニングコストを抑えた導入が可能です。初期費用の安さは中・小規模クリニックには魅力的なポイント。シンプル&ベーシックな機能で運用したい場合には、クラウド型製品を検討してみるとよいでしょう。
一方、クラウド型と一口にいっても、各プランで料金設定が異なり、製品によって初期費用がかかるものもあります。例えば、クラウド型の最安水準である「スマート健診クラウド DAYS -Daidai-」の場合は、初期費用無料、かつ1年間利用無料の非課金フリープランから選択可能。
その他、初期費用無料、月額22,000円(税込)とシンプルなワンプランを用意する「Smart TOHMAS」や、初期費用220,000円、月額33,000円(いずれも税込)プランの「けんしんCompact」など、製品ごとに様々なプランがあります。さらに多くの場合、各製品で多様な有料オプションが用意されていますので、費用対効果に合うものを吟味して選ぶようにしましょう。
オンプレミス型製品の初期費用は、クラウド型製品に比べて一般的に高額です。
オンプレミス型は、システムパッケージ費用やサーバ設置・構築費、保守・運用費、エンジニア人件費などが必要となるため、一般的にクラウド型よりもコストが高くなります。導入環境によってカスタマイズが必要となる場合が多いため、価格は一概に公表されておらず、個別見積もりとなります。
その代わり、導入したい機能に合わせたカスタマイズが柔軟にできたり、専用のシステムをゼロから開発できる点は強みです。クリニックの規模や必要な機能などを考慮して検討するようにしましょう。
クラウド型・オンプレミス型それぞれに、以下のような支払いプランがあります。
ここでは、代表的なクラウド型健診システムを中心に、価格や機能を比較してみましょう。
システム名 | DAYS -Daidai- | タック健診クラウド | クラウド型健診システム | macmo (マクモ) | けんしんCompact | メディクラ健診 | ALPHA・SALUS | CARNAS | CARNAS &g | Smart TOHMAS | |
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料金体系 | 月額(税込) | 0円~ | HPに記載なし | HPに記載なし | HPに記載なし | 33,000円 | HPに記載なし | HPに記載なし | 22,000円 | HPに記載なし | 22,000円 |
初期費用(税込) | 0円~ | HPに記載なし | 0円 | HPに記載なし | 220,000円 | HPに記載なし | HPに記載なし | 0円 | HPに記載なし | HPに記載なし | |
利用ユーザー数制限 | 制限なし | HPに記載なし | 10,000件くらいまで | HPに記載なし | HPに記載なし | HPに記載なし | HPに記載なし | HPに記載なし | 10,000件まで | HPに記載なし | |
作業台数制限 | 制限なし | HPに記載なし | HPに記載なし | HPに記載なし | HPに記載なし | HPに記載なし | HPに記載なし | ID数 5 | なし | なし | |
ログイン人数制限 | 制限なし | HPに記載なし | HPに記載なし | HPに記載なし | HPに記載なし | HPに記載なし | HPに記載なし | ID数 5 | なし | なし | |
業務機能 | 予約 | 〇 | HPに記載なし | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
受付 | 〇 | HPに記載なし | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
検査結果入力 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
自動判定 | 〇 | 〇 | 〇 | HPに記載なし | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
実績 | 導入事例 | 〇 | - | - | - | - | 〇 | - | 〇 | - | 〇 |
対応コース | 人間ドック | 〇 | HPに記載なし | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
法定健診 | 〇 | HPに記載なし | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
雇入健診 | 〇 | HPに記載なし | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
特定健診 | 〇 | HPに記載なし | 〇 | HPに記載なし | 〇 | 〇 | HPに記載なし | 〇 | 〇 | 〇 | |
協会けんぽ | 〇 | HPに記載なし | 〇 | HPに記載なし | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
特殊健診 | 〇 | HPに記載なし | HPに記載なし | 〇 | HPに記載なし | HPに記載なし | HPに記載なし | HPに記載なし | HPに記載なし | HPに記載なし | |
グローバル対応 | 多言語対応 | 〇 | HPに記載なし | HPに記載なし | HPに記載なし | HPに記載なし | HPに記載なし | HPに記載なし | HPに記載なし | HPに記載なし | HPに記載なし |
健診システム導入にかかる費用相場は、規模(年間受診者数)や必要な機能、運用形態によって大きく変動します。以下は目安となる相場情報です。
項目 | 主な内容 | 目安費用 |
---|---|---|
ライセンス費用 | ソフトウェア利用権(ユーザー数・受診件数ベース) | 初期:10万円~300万円 年間更新:5万円~100万円 |
サーバ環境構築費 | 専用サーバの購入・設置・ネットワーク設定 | 30万円~200万円 |
カスタマイズ費用 | 既存システム連携、画面・帳票の個別仕様対応 | 10万円~150万円 |
保守・運用費用 | 障害対応、バージョンアップ、サポート | 年間:10万円~50万円 |
トレーニング費用 | 導入時ユーザー教育、操作マニュアル作成 | 5万円~30万円 |
ユーザー数や年間受診者数が少ないクリニックでは、初期費用を抑えられるクラウド型が最適です。基本機能で運用できれば月額2万円~と導入が容易です。
一方、大規模クリニックや産業保健で複数拠点を連携する場合は、オンプレミス型も検討。初期投資は大きくなるものの、自社固有の帳票や高度な分析機能を組み込んだカスタマイズが可能です。
また、電子カルテ連携やAPI連携、専用レポート出力など、必要機能によってオプション費用が変動します。必ず「年間受診件数」「必要なレポート項目」「連携システム」を整理し、複数ベンダーから見積もりを取って比較検討しましょう。
健診システムと一緒に導入されることが多いのが「電子カルテ」です。ここでは、クラウド型電子カルテの費用相場についても簡単にご紹介します。
項目 | 目安費用(税込) | 備考 |
---|---|---|
初期費用 | 0円~50万円 | パッケージセット/画面カスタマイズの有無で変動 |
月額利用料 | 1.5万円~8万円 | ユーザー数、運用機能、ストレージ量に依存 |
オプション機能費用 | 5千円~3万円/機能 | API連携、モバイル対応、レポート作成など |
保守サポート費用 | 5千円~2万円/月 | 問合せ対応、バージョンアップ込み |
※クラウド型電子カルテは、ライセンス数やオプションによって費用が大きく異なります。事前に「同時ログイン数」「必要API」「帳票出力種別」を整理し、複数ベンダーから見積もりを取りましょう。
健診システムの導入には費用が発生しますが、同時に削減できるコストも存在します。
例えば、紙で保管している診断結果です。健診システムで管理・処理できるようにすれば、これまでの紙での処理より効率よく作業できるようになり、設置場所の問題もありません。
また健診結果をデータで持っていることで、診断後のフォローアップも効率よくできるようになります。再検査のリマインドや、健診結果をもとにしたアドバイスなどがスムーズになるのは健診システムのメリットと言えるでしょう。
導入時・運用中に想定外で発生しやすい費用例をリストアップしました。
病院や医療施設が健診システムを導入する際に利用できる主な補助金には、次の2つがあります。
対象:中小企業・小規模事業者(医療法人も含む)
業務の効率化やDX(デジタルトランスフォーメーション)を目的に、ITツール(ソフトウェアやクラウドサービスなど)の導入費用を支援する制度です。
運営:社会保険診療報酬支払基金
医療機関や健診実施機関がICT(情報通信技術)を導入・拡充するための補助金です。
上記以外にも、自治体独自の「健康経営助成金」など、医療機関向けの支援制度が存在する場合があります。
導入を検討する際は、お住まいの都道府県や市区町村の公式サイトで最新情報を確認することをおすすめします。
自院の年間受診者数、必要機能、予算、既存システム連携状況を整理して、複数ベンダーから見積もりを取得し比較検討してください。システムの選定にあたっては、単に「価格」だけでなく、「機能」「拡張性」「サポート体制」「導入後の効果」を総合的に見極めることが重要です。
各種健診業務の効率化、人的ミスの削減といったメリットが期待できる健診システム。その一方で、導入におけるボトルネックのひとつとなるのが、高額な初期費用や月々の運用コストです。
そこでここでは、導入コストを抑えられるクラウド型健診システムを調査。受付・判定・報告まで自動化できるものから、導入実績があり、かつ初期・月額費用が安い3製品を厳選して紹介します。